プラズマ治療技術 ~東京都市大学/プラズマACTYコンソーシアム~

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※ここで紹介しております、プラズマ照射装置の試作機は、平成29年6月28日~30日の「BIO tech 2017」(東京ビッグサイト)に展示されました。

プラズマ治療装置の試作機 泉工業株式会社 東京 ビッグサイト



月刊誌「プラスチックス」に紹介しました
日本経済新聞・日刊工業新聞ほかの掲載
プラズマACTYコンソーシアムの体制
記者発表が行われました(プラズマACTYコンソーシアム)
大気圧プラズマを用いた疾患治療装置
プラズマと放電
プラズマの農業への応用とプラズマ治療
プラズマ乳酸菌とプラズマ治療
我が国におけるプラズマ医療の研究
イメージ先行(?)のプラズマ治療・プラズマ医療
プラズマ治療技術について
関連リンク

月刊誌「プラスチックス」に紹介しました

 私(知財経営研究社代表)が連載記事を書かせて頂いております、月刊誌「プラスチックス」の10月号に、泉工業様の記事を書かせて頂きました。
 泉工業様は、「ものづくり補助金」を活用するなどして自社製品となるプラズマ照射装置を開発され、その成果をベースに、東京都市大学との共同研究でプラズマ治療用の装置開発に取り組んでいます。
 プラズマACTYコンソーシアムにつきましても簡単にご紹介しました。

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日本経済新聞・日刊工業新聞ほかの掲載


 平成29年6月23日に行われました、記者発表の内容を日本経済新聞、日刊工業新聞ほかのメディアで取り上げて頂きました。
 
 私が把握しておりますものを掲載します。


日本経済新聞 電子版(平成29年6月28日)
 「東京都市大など、医療・美容分野における皮膚の改質・再生に有効な大気圧プラズマ照射装置を開発」
 ※プラズマACTYコンソーシアムについても詳しく掲載して頂きました。

プラズマACTYコンソーシアム 日本経済新聞



日刊工業新聞(平成29年6月26日)
 「少ない刺激で表皮再生−東京都市大など、プラズマ照射装置を開発」

東京都市大学、泉工業株式会社 日刊工業新聞



SankeiBiz(平成29年7月4日)
 東京都市大と泉工業 大気圧プラズマ装置を開発 再生医療への応用期待

YAHOOニュース(平成29年7月4日)
gooニュース(平成29年7月4日)
 東京都市大と泉工業 大気圧プラズマ装置を開発 再生医療への応用期待


神奈川新聞(平成29年6月24日)
 「5年後実用化へ連携 泉工業、大学などと プラズマ照射装置」

プラズマ治療 神奈川新聞


日本の研究.com(平成29年6月28日)
 「国内初、医療・美容分野における皮膚の改質・再生に有効な、大気圧プラズマ照射装置の開発に成功 」
 ※プラズマACTYコンソーシアムについても詳しく掲載して頂きました。


健康美容EXPOニュース(平成29年6月28日)
 「医療・美容分野における皮膚の改質・再生に有効な、大気圧プラズマ照射装置の開発に成功/東京都市大学、泉工業」
 ※プラズマACTYコンソーシアムについても詳しく掲載して頂きました。


東京都市大学 トピックス詳細(ニュースリリース) (平成29年6月28日)
 国内初、医療・美容分野における皮膚の改質・再生に有効な、大気圧プラズマ照射装置の開発に成功
※プラズマACTYコンソーシアムについても詳しく掲載して頂きました。

プラズマ医療とは? (東京都市大学様のニュースリリース引用)
 プラズマを利用して人の細胞を直接治療する方法。プラズマから生成される熱、紫外線、イオン種、並びに化学活性種を利用した治療は乾式で非接触のため、患者への肉体的負担が少ないという特徴がある。皮膚疾患、創傷治癒、ガン治療などの次世代の革新的治療法として注目されている。特に皮膚疾患に関し、医療分野では、糖尿病による壊死や火傷への治療法として、美容分野ではレーザーの代替として期待が寄せられている。

効果が期待される疾患例(東京都市大学様のニュースリリース引用)
 疾患例:やけど、床ずれ、糖尿病による壊死、肌質改善(美白・脂性肌)、小じわ、毛穴の開き、ニキビ・ニキビ痕、薄い肝斑


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プラズマACTYコンソーシアムの体制

プラズマACTYコンソーシアムの体制


 東京都市大学様、泉工業様、横浜信用金庫様、コラボ産学官様、知財経営研究社の合計5機関が発起人となって、プラズマACTYコンソーシアムプラズマアクティーコンソーシアム)を結成しました。

 早速、6月27日にはプラズマ治療技術や本共同研究の成果等を発表する機会がありました。

 また、6月28日~30日に東京ビッグサイトで開催される「BIO tech 2017」に、東京都市大学様と泉工業様が共同で出展されました。

※プラズマACTYコンソーシアムは、まだオープンな団体ではありません。ビジネスパートナーとして活動して頂く企業の方、医療業界の方に、こちら側からお声がけさせてい頂いております。

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記者発表が行われました(プラズマACTYコンソーシアム)

東京都市大学と泉工業株式会社


 平成29年6月23日に、東京都市大学で記者発表が行われました。

 東京都市大学様と、神奈川県の泉工業株式会社との共同研究により、皮膚疾患の治療のためのプラズマ照射装置の試作機の開発に成功した旨が公表されました。

 また、東京都市大学様、泉工業様、横浜信用金庫様、コラボ産学官様、そして、知財経営研究社の合計5機関で「プラズマACTYコンソーシアムプラズマアクティーコンソーシアム)」を結成し、本共同研究の成果たるプラズマ治療装置・プラズマ治療技術の実用化と普及を目指すことになりました。

 下の写真のご登壇者が東京都市大学の平田孝道先生です。
 右横に設置してある装置が、泉工業様で制作した、プラズマ照射装置です。

東京都市大学のプラズマ治療の記者発表

 
 スクリーンに映し出されているのは、「プラズマACTYコンソーシアム」の体制図です。
 これは、平成27年の経産省「(大学発)シーズ発掘調査事業」の関係者です。
 この調査事業は産学官連携のプロジェクト事業で、大学のシーズ技術を中小企業にマッチングさせるところまでのものでした。ところが、発足した共同研究プロジェクトがとても有望なものであったため、経産省の公募事業としては終了した後も継続して同じ関係者でプロジェクトを進めてきたのです。
 そして、全関係者がそのまま、プラズマアクティーコンソーシアムの発起人として名を連ねたのです。

 シーズ発掘調査事業では、主に東京都、神奈川県、埼玉県の金融機関(信用金庫)も参加し、信用金庫の取引先と大学とをマッチングする役割を担いました。


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大気圧プラズマを用いた疾患治療装置

 東京都市大学の平田先生が、経産省の「(大学発)シーズ発掘調査事業」の発表資料として作成されたものが、Webに公開されています。

 ※「大気圧プラズマを用いた疾患治療装置の開発」(東京都市大学 工学部医用工学科 教授 平田 孝道)

プラズマ治療・プラズマ医療技術の説明資料


 我が国では、プラズマ治療はニキビの瘢痕治療など、美容・整形クリニックなどですでに導入が始まっています。
 プラズマ照射によって火傷や床ずれなど皮膚系の疾患の治療に、プラズマの吸引によって心疾患(狭心症・心筋梗塞)の治療等に応用されることが期待されています。

 名古屋大学などでは、プラズマ医療を、がん治療へ応用することも積極的に研究しています。

 プラズマ治療は、「プラズマ」という言葉の持つ高いエネルギーを連想させるイメージとは異なり、通常は痛くも痒くもない、患者にとってとても負荷の少ない治療技術です。

 なお、本ページで扱うプラズマ治療技術は、主に大気圧プラズマを照射するものです。
 歯科などで使われています、プラズマとレーザーを組み合わせた「プラズマレーザー治療」は本ページでは当面は詳しく触れる予定はございません。
 ただし、レーザー処理を施した後に大気圧プラズマを照射するというアプローチについては、いずれご紹介させて頂くかも知れません。

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大気圧プラズマプラズマ医療

 近年注目が高まっている「プラズマ医療(Plasma Medicine)」は、大気圧プラズマを用いた医療行為や医療技術を指すことが多いようです。

 大気圧プラズマを医療へと応用するプラズマ医療は、がんや創傷の治療、低侵襲止血、遺伝子導入等に有効であると考えられています。

 そのメカニズムにはまだ未解明の領域が多いのですが、大気圧プラズマが生成する活性酸素種や窒素種が治療効果に関与していると考えられています。
 それ以外にも様々なファクターがありそうで、近年、各国で研究が盛んに行われています。

 大気圧プラズマを生成する場合、ヘリウムやアルゴンなどのガスを用います。
 ガスの種類を変えると生成される活性種も変わります。活性種とは、反応性の高い状態にある原子・分子やイオンなどのことです。
 
 プラズマ医療の研究においては、ガス種の使い分けも重要事項です。

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プラスマと放電

 プラズマ=放電ではありませんが、放電を起こせば、プラズマ状態を作り出すことができます。

 また、プラズマ状態を作り出せば、放電させやすくなります。

 身近な例では、蛍光灯があります。これはアーク放電やグロー放電を利用するものです。
 雷は火花放電です。
 オーロラもプラズマです。
 太陽も実は、プラズマ状態にあります。太陽のエネルギーは、プラズマ核融合によるものです。

 もちろん、プラズマ治療で使われるプラズマは、上の例で紹介したような強力なものではなく、極めて微弱なプラズマを利用するものです。

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プラズマの農業への応用とプラズマ治療

 プラズマの農業への応用は、主にプラズマ照射による殺菌作用を活用するものとして行われています。

 農産物の成長を促し、生産性を高める効果の可能性についての研究もされているようです。

 皮膚疾患分野におけるプラズマ治療では、細胞の成長因子に働きかけることで活性化させ、正常な皮下組織の再生を促す効果を用いるものです。農産品の生産性を高める効果があるとすれば、そのメカニズムには共通的なものがあるかも知れません。

 雷が落ちるとその周辺の農産物がよく育つといわれていますが、遠くない将来にその効果の立証、メカニズムの解明がなされるかも知れません。

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プラズマ乳酸菌とプラズマ治療

 プラズマ乳酸菌とプラズマ治療とは、直接の関係はありません。

 プラズマ乳酸菌は、プラズマ治療の雑談をしているとよく話題にあがるテーマです。

 プラズマ乳酸菌は、プラズマを照射して雑菌を退治する戦闘力を高めた乳酸菌のこと・・・ではなく、そういう種類の乳酸菌です。

 「プラズマ」という言葉には、物理学的な意味と生物学的、医学的な意味があります。「プラズマ」の語源は「形作る」といった意味のギリシャ語だそうですが。

 プラズマ治療の「プラズマ」は、物理学的な意味のほうです。プラズマは固体・液体・気体に続く物質の第4の状態といわれており、気体を構成する分子が電離し陽イオンと電子に別れて運動している状態のことをいいます。プラズマテレビや、シャープのプラズマクラスターは、こちらの意味のほうです。
 生物学的には、細菌の名称に使われています。
 医学的には、血漿のことを言ったりします。

 肺炎を引き起こす細菌の「マイコプラスマ」も、プラズマ治療とは、直接の関係はありません。

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我が国におけるプラズマ医療の研究

 我が国におけるプラズマ医療(Plasma Medicineの研究は、国際的には後発だったそうですが、文部科学省新学術領域研究「プラズマ医療科学の創成」といった取り組みの結果、世界の先端レベルに追いついたというお話を昨年の「東京都市大学 プラズマライフサイエンスイノベーション研究体シンポジウム」で伺いました。

 名古屋大学の堀勝先生は、プラズマ医療国際会議の発表件数では2014年と2016年において日本の発表件数は群を抜いてトップであり、日本が世界をリードしていると述べておられます(※)。
 ※急進展するプラズマ医療、人への治療試験も始まる(日経テクノロジー)

 研究レベルだけでなく、事業において、我が国の企業がこの分野で国際市場に冠たる地位を築いて欲しいものです。
 そのために私も貢献できるように努めて参りたいと考えております。

 もともと、我が国はプラズマ核融合の研究が盛んに行われてきており、プラズマ医療の研究においても、以前はプラズマ核融合の研究者がリーダーとなっているケースが少なくありません。
 半導体製造技術の領域でもプラズマ関連技術は利用されており、我が国の多くの企業や研究機関が関連技術を有しています。

 私(知財経営研究社 代表)は、大学ではプラズマ核融合の研究室に所属し、卒論のテーマは「プラズマ計測」でした。
 友人・知人にはプラズマ核融合の研究者もおりますので、プラズマ医療の研究者の方との接点が意外にあることに不思議なご縁を感じています。

 現在、我が国においてプラズマ医療の研究を主導している名古屋大学は、もともとプラズマ核融合の研究でも先端をいっております。

 話が少しそれますが、プラズマ医療の研究は、プラズマ核融合を含む、多くの工学系の研究者が携わっているようです。
 東京都市大学の平田先生も、もともとは工学系の研究をされてこられたそうです。
 ものづくりの技術にも明るく、装置開発や試作機の制作にも素晴らしい知見を有しておられます。
 平田先生お一人でも、「医工連携」のプロジェクトが進むような印象です。

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イメージ先行(?)のプラズマ治療プラズマ医療

 プラズマ治療プラズマ医療のメカニズムは、まだまだ未知の要素が多いようです。

 それを解明しようと研究されている、国際的にも第一人者である研究者のおひとりが、東京都市大学の平田孝道先生です。

 文部科学省新学術領域研究「プラズマ医療科学の創成」において、平田先生は「A03班」にて「プラズマによる細胞/組織の活性化・改質及び再生医療への応用展開」をご担当されています。

 メカニズムは不明でも、効果があると「言われている」、という状況のもとでは、プラズマ治療はイメージ先行のものとなってしまうかも知れません。
 美容クリニックなどのWebサイトを見ますと、すでにそのような状況かも知れません。
 このような状況は、プラズマ治療を普及させるにあたって、好ましいことではありません。

 プラズマ治療は、しっかりとした臨床データや科学的見地に基づいて、適切に利用されることが望ましいと思います。

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プラズマ治療技術について

 東京都市大学では、プラズマ治療技術の開発に取り組んでいます。

 私は平成26年、平成27年の経産省の「(大学発)シーズ発掘調査事業」(事務局:一般社団法人コラボ産学官)で委員を務めさせて頂きました。

 この事業に平成27年のシーズ技術として挙がっていたのが、東京都市大学の平田孝道教授のプラズマ治療技術でした。

 経産省の公募事業は終了していますが、それ以来、コラボ産学官様らとともに、東京都市大学とのお付き合いを継続させて頂いております。
 世田谷キャンパスに月1度のペースで伺わせて頂いております。

 私は、産学連携・医工連携活動の一貫として、東京都市大学のプラズマ治療技術に関わっています。

 昨年(平成28年)6月7日には、「東京都市大学 プラズマライフサイエンスイノベーション研究体シンポジウム」が開催され、私も参加して参りました。
 我が国におけるプラズマ医療の第一人者でおられる、名古屋大学の堀勝先生もご登壇されていました。

 シンポジウムでは、外国製のプラズマ治療装置が紹介されました。(下の写真)

 右の写真の右下には、ガスボンベがあります。アルゴンなどのガスを流しながらプラズマを発生させる仕組みです。どのようなガスを使い、どのような仕様のプラズマを発生させ、どのように患部に照射するかなど様々なファクターによって治療効果は異なるはずです。
 メカニズムの解明も含め、そうした研究が東京都市大学などで行われています。

プラズマ治療・プラズマ医療装置


 名古屋大学では、ガン治療にプラズマ技術を適用する研究が行われており、関係者の注目を集めています。
 シンポジウムの際には、反響が大きすぎて、対外的な発表は慎重に考えておられるということでした。
 最近になって、プラズマ医療に関する対外的な発表も活発化しています。それだけ研究成果が確かなものになってきたということでしょう。
 プラズマ活性溶液PAM)による「間接照射」でがん治療を行うという斬新なアプローチもあり、これがまた、非常に興味深い技術です。
 ここでいうPAMとは、plasma-activated medium の頭文字をとったものです。プラズマ処理溶液、プラズマ活性培養液などとも呼ばれています。がん細胞を選択的に死滅させることができるということです。
 強力なプラズマを用いるプラズマ溶解(PAM:Plasma Arc Melting)のことではありません。

 今後、プラズマ医療は、医療業界に大きなインパクトをもたらすようになるかも知れません。

 なお今年(平成29年)の1月に開催された、「化粧品開発展」では、東京都市大学の平田孝道先生の研究室の研究成果が発表されました

 3月9日には、日刊工業新聞に「低酸素脳症、プラズマで改善−東京都市大が治療法、壊死拡大抑える 」と題した記事が掲載されました。

 プラズマ治療技術は、再生医療の1つのアプローチともいえる、とても興味深い技術です。適宜お伝えして参ります。

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関連リンク

 急進展するプラズマ医療、人への治療試験も始まる(日経テクノロジー)

 医療を革新するプラズマ技術 ~低負荷がん治療、止血、遺伝子導入、再生医療の進化をリード~(日経エレクトロニクス)

 低酸素脳症、プラズマで改善−東京都市大が治療法、壊死拡大抑える(日刊工業新聞)

 プラズマ照射した点滴液、脳腫瘍・卵巣がん治療に効果(朝日新聞)
 ※これがPAM(プラズマ活性溶液)と呼ばれるアプローチのものです。

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