平成29事務年度 金融行政方針(金融庁)と金融仲介機能のベンチマーク

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平成29事務年度 金融行政方針について

金融庁は、平成29年11月に「平成29事務年度 金融行政方針」を公表しました。

金融庁の平成29事務年度 金融行政方針


 金融庁自身の改革をしっかりと打ち出している印象です。

 前回に続き、金融仲介機能のベンチマークについて盛り込まれています。

 フィンテックについても、「フィンテックを我が国の経済・金融の発展につなげていくための方策 」として盛り込まれました。

 その他、主なキーワードは次のとおりです。
 コーポレートガバナンス・ コード、スチュワードシップ・コード、フォワードルッキング
 
 金融仲介機能に関する記述は、次のようなものです。

 金融庁は、①金融システムの安定/金融仲介機能の発揮、②利用者保護/利用者利便、 ③市場の公正性・透明性/市場の活力のそれぞれを両立させることを通じ、企業・経済の持 続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大を目指すことが金融行政の目標 である旨を明確にしている。 こうした目標が、単なる標語ではなく、職員が常にこれを意識して業務運営に携わるよう、 行動基準としての定着を図っていく。

 金融庁では、これまで国民の安定的な資産形成や金融仲介機能の十分な発揮などに向 けて、様々な施策を進めてきた。これらの施策について、適切に政策評価を行い、①一定 の成果があったものは次の段階に進め、②まだ取組みが緒に就いたばかりの施策は継続 し、③思わしい成果があがっていないものは、何が障害になっているかを掘り下げ、障害の 除去と、更に前進するための方策を検討し、④必要性が低下したものは、縮小又は取りや める、という対応を機動的に行っていく。

  「金融仲介機能のベンチマーク」を発展させ、各金融機関の金融仲介(企業の価 値向上支援等)を客観的に「見える化」できる統一された定義に基づく比較可能な 共通の指標群(KPI)を策定し、当該KPIも活用しつつ、地域金融機関と深度ある 対話を行う。また、金融機関間で顧客本位の競争が実現するよう、KPIに基づき収 集された結果を含めた開示のあり方についても検討を進める。

 将来にわたり健全で適切な金融仲介機能を発揮できる金融機関 が存在することは重要であり、経営統合もそのための一つの選択肢であるが、他 方で、同一地域内の経営統合については、金融サービスの供給者数の減少による 現時点における寡占・独占のリスクが指摘されている。

 

平成28事務年度 金融行政方針について


 金融庁は、平成28年10月に「平成28事務年度金融行政方針」を公表しました。

 これは、民間の者にとりましては、平成28年度から平成29年度にまたがって影響を及ぼすものとなっています。

 平成28事務年度の金融行政方針において、金融仲介機能のベンチマークに関連する記述には以下のようなものがあります。

金融行政運営の基本方針
 昨事務年度の金融行政方針でも述べたとおり、金融とは、身体をめぐる血液のようなものであり、資金が適切に供給されていくことで、経済成長や国民の生活の向上が図られる。
  金融庁は、引き続き、①金融システムの安定/金融仲介機能の発揮、②利用者保護/利用者利便、③市場の公正性・透明性/市場の活力を確保することにより、企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大を目指す。

良質な金融商品・サービスの提供に向けての競争実現(市場メカニズムの発揮)
 本事務年度においては、顧客が、自らのニーズや課題解決に応えてくれる金融機関を主体的に選択できるようにするため、顧客から金融機関の行動や取組みがより良く見えるようにする、「見える化」を進めていく。
 具体的には、金融商品・サービ スに係る各種手数料等の開示の促進、「金融仲介機能のベンチマーク」等を用いた金融機関による顧客本位の取組みの自主的な開示の促進、当局が検査・監督等で得た知見の積極的な公表・問題提起、優良金融機関の表彰制度の創設等を推進する。
 こうした 「見える化」を通じて、金融機関の取組みが顧客から正当に評価され、より良い取組みを行う金融機関が顧客に選択されていくメカニズムの実現を目指す。また、こうした「見える化」により、金融機関の取組みに対する株主の理解が向上し、より良い取組みを行う金融機関が株主から評価されていくことも期待される。

金融仲介機能の十分な発揮と健全な金融システムの確保等
 本事務年度においては、こうした金融機関の取組みについて当局としてより包括的に実 態把握を行うとともに、2016年9月に公表した「金融仲介機能のベンチマーク」等を活用しつつ、金融機関の自己評価を促す。
  また、金融機関の取組みの実態把握、「金融仲介機能のベンチマーク」等の客観的な指標等を活用し、ガバナンス、業績目標・評価、融資審査態勢等を含め、金融仲介の質の向上に向けて、経営陣と深度ある対話を実施する。

金融仲介機能の質の向上
 金融機関による金融仲介機能の質の向上に向けて、取組みを進める。
 
金融仲介の質の向上に向けての金融機関との深度ある対話
 多くの金融機関が経営理念の中で、金融仲介機能を発揮し、取引先企業のニーズ に応じた融資やソリューションの提供により、企業の成長に貢献していく方針を掲げているにもかかわらず、顧客に対し理念通りの行動ができていない金融機関も少なからずあるように見受けられる。
 どうすれば金融仲介の質を一層高めていけるか、金融機関の取組みについての実態把握や先般公表した「金融仲介機能のベンチマーク」等の客観的な指標を活用し、金融機関との間で深度ある対話を進めていく。

開示の促進等を通じた良質な金融サービスの提供に向けた競争の実現
 金融機関に対し、「金融仲介機能のベンチマーク」等の客観的な指標を活用し、 その金融仲介機能の発揮状況について、積極的かつ具体的に開示するよう促す。


 キーワードを挙げるとすれば、見える化顧客本位自己評価対話競争、といったところでしょうか。

 平成29事務年度の金融行政方針が公表になりましたら、また追記等いたします。
 昨年(平成28年)の実績を見る限り、平成29年10月頃の公表になると思われます。
 

ローカルベンチマークと金融仲介機能のベンチマーク

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