ローカルベンチマークと金融仲介機能のベンチマーク

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※平成30年6月3日更新

 当社では、金融機関の方と連携した中小企業支援に力を入れております。

 いくつかの金融機関の方と、金融ベンチマーク対策についての協議をさせて頂いております。
 先日は金融機関の主催の経営研修を行わせて頂き、ローカルベンチマークで参加企業様の経営の現状分析を行いました。

 ※対象は原則として東京都、埼玉県、神奈川県の金融機関の方とさせて頂いております。

「金融仲介機能のベンチマークを公表した地方銀行・第二地方銀行」はこちら
(平成30年・2018年入りしてからの金融機関からの公表はまだ低調です)

「売上アップ戦略研修」を実施しました
2つのベンチマークへの対応、どうされますか? ~ ローカルベンチマークと金融仲介機能のベンチマーク ~
ローカルベンチマークとは?
新しくなった、ローカルベンチマーク
ローカルベンチマークの利用マニュアル
ローカルベンチマークの手引き
「労働生産性」の定義・計算式
経営力向上計画とローカルベンチマーク
ローカルベンチマークの活用方法
ローカルベンチマークの記載例・記入例
ローカルベンチマークと財務情報・財務分析
ローカルベンチマークと非財務情報
知的資産経営とローカルベンチマーク
ローカルベンチマークと知的財産権
知的財産推進計画とローカルベンチマーク
事業承継ガイドラインとローカルベンチマーク
ローカルベンチマーク作成を支援する公的制度
ローカルベンチマークに関するセミナー・著作物
ローカルベンチマークと RESAS
ローカルベンチマーク活用戦略会議
ローカルベンチマークと事業性評価
ローカルベンチマークの参考文献

金融仲介機能のベンチマークとは?
金融検査マニュアルと金融仲介機能のベンチマーク
金融仲介機能のベンチマークの定義集
金融行政方針と金融仲介機能のベンチマーク
フィデューシャリー・デューティー
金融仲介機能のベンチマーク策定の趣旨
金融仲介機能のベンチマークの活用
金融仲介機能の改善に向けて
事業性評価と金融仲介機能のベンチマーク
地域密着型金融と金融仲介機能のベンチマーク
産学連携と金融仲介機能のベンチマーク
どのステークホルダーに情報を発信するか?
金融庁の平成29年度予算
共通ベンチマークとは?
選択ベンチマークとは?
選択ベンチマーク (1)地域へのコミットメント・ 地域企業とのリレーション
選択ベンチマーク (2)事業性評価に基づく融資等、 担保・保証に過度に依存しない融資
選択ベンチマーク (3)本業(企業価値の向上)支援・ 企業のライフステージに応じたソリューションの提供
選択ベンチマーク (4)経営人材支援
選択ベンチマーク (5)迅速なサービスの提供等顧客 ニーズに基づいたサービスの 提供
選択ベンチマーク (6)業務推進体制
選択ベンチマーク (7)支店の業績評価
選択ベンチマーク (8)個人の業績評価
選択ベンチマーク (9)人材育成
選択ベンチマーク (10)外部専門家の活用
選択ベンチマーク (11)他の金融機関及び中小企業支援策との連携
選択ベンチマーク (12)収益管理態勢
選択ベンチマーク (13)事業戦略における位置づけ
選択ベンチマーク (14)事業戦略における位置づけガバナンスの発揮
独自ベンチマークとは?

金融仲介機能のベンチマークを公表した地方銀行・第二地方銀行

金融仲介機能のベンチマークを公表した信用金庫・信用組合

IT導入補助金と金融ベンチマーク
小規模事業者持続化補助金と金融ベンチマーク

オープン・イノベーション時代の到来
オープン&クローズ戦略
金融仲介機能のベンチマーク 参考文献
金融仲介の改善に向けた検討会議/金融庁 新たなKPI
関連記事(日本経済新聞など)

★関連ページ
 事業性評価 と 事業性評価融資

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「売上アップ戦略研修」を実施しました

 私が企画部長を務めております、城西コンサルタントグループ(JCG)の会員として、横浜信用金庫様のお取引先企業の皆さまを対象とした「売上アップ戦略研修」を行わせて頂きました。(平成30年3月9日実施)

 企業の経営環境の現状認識のツールとして、ローカルベンチマークを活用しました。
 ローカルベンチマークは、企業の現状把握のためのコミュニケーションツールとしては優れていると思います。適宜、他のツールと組み合わせて経営診断を行うといいと思います。

 今後の事業戦略、事業計画、営業力強化のためのツールとしてはロカベンでは不足しますので、私どもの経営戦略立案ツールを利用して行いました。

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2つのベンチマークへの対応、どうされますか? ~ ローカルベンチマークと金融仲介機能のベンチマーク ~

 経済産業省からは「ローカルベンチマーク」(通称:ロカベン) 、そして金融庁からは 「金融仲介機能のベンチマーク」 が公表されました。

 地方銀行や信用金庫等の金融機関では、この2つのベンチマークに対してどう向き合うのか、戦略が求められることになります。
 とりわけ本店・本部機構の方におかれましては、この2つのベンチマーク、特に金融仲介機能のベンチマークへの対応に苦慮されておられることも少なくないでしょう。

 私(知財経営研究社 代表/中小企業診断士)は、産学連携支援で金融機関の本部機構の方とご一緒するケースが多いのですが、どの金融機関でも、頭を悩ませておられるような印象です。

 ともに理解を深め、適切な解を見出していきませんか?
 是非、ご検討下さい。

 さて、この2つのベンチマークは異なるものではありますが、取引先(中小企業)に対する経営支援や事業性評価というキーワードで相互に関連性があります。

 例えば、金融仲介機能のベンチマークの選択ベンチマーク5では、「事業性評価の結果やローカルベンチマークを提示して対話を行っている取引先数、及び、左記のうち、労働生産性向上のための対話を行っている取引先数 」が採り上げられています。

 事業性評価とは、金融機関が取引先企業との取引姿勢を検討するにあたり、決算データや担保・保証に過度に依存することなく、取引先企業の事業内容を適切に評価することです。
 事業性評価融資とは、文字どおり事業性を評価して判断される融資のことです。

 マイナス金利の時代に、金融機関は単なる融資では収益を上げることが難しくなりました。融資を行う場合にも、その取り組み姿勢がこれまで以上に問われることになりそうです。

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ローカルベンチマークとは?

ローカルベンチマークとは

 

ローカルベンチマークの財務分析の記入例

 
 ローカルベンチマークとは、経済産業省から提供されている、無料で使える経営診断ツール(企業の健康診断ツール)です。エクセル(Excel)を利用したツールです。通称は「ロカベン」です。

 エクセルの表に、いくつかの項目を入力すると、財務状況等をレーダーチャート形式に分かりやすく図示してくれるなどの機能があります。

 ローカルベンチマークは、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツール(道具)として、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待されるものです。

 具体的には、「参考ツール」を活用して、「財務情報」(6つの指標※1)と「非財務情報」(4つの視点※2)に関する各データを入力することにより、企業の経営状態を把握することで経営状態の変化に早めに気付き、早期の対話や支援につなげていくものです。

※1)6つの指標(財務情報)
  ①売上高増加率(売上持続性)
  ②営業利益率(収益性)
  ③労働生産性(生産性)
  ④EBITDA有利子負債倍率(健全性)
  ⑤営業運転資本回転期間(効率性)
  ⑥自己資本比率(安全性)

※2)4つの視点(非財務情報)
  ①経営者への着目
  ②関係者への着目
  ③事業への着目
  ④内部管理体制への着目

 ローカルベンチマークは地域企業の経営者等と地域金融機関、支援機関の対話を深める入口として使われることにより地域経済の活性化にも役立てようと考えられているため、名称にローカルという言葉が使われています。

 非財務情報の「事業への着目」は、金融機関による事業性評価を意識したものです。

 なお、中小企業診断士の主な業務の1つである経営診断においても、ローカルベンチマークは有用です。

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新しくなった、ローカルベンチマーク

 新年度入りし、 経営力向上計画に関する制度や資料類が改訂されました。

 ローカルベンチマークも、平成29年の3月に改訂されています。

 改訂前のローカルベンチマークの財務分析結果は、次のようなイメージでした。

ローカルベンチマークを用いた財務分析の記入例(従来)

 
 改訂後は、先に示しましたものと同じですが、次のようになります。

ローカルベンチマークを用いた財務分析(最新)


 財務情報につきましては、従来は2期分の入力でしたが、改訂版では3期分になっています。

 これにより、傾向分析が行いやすくなりました。

 また、エクセルのツールとしての操作性も改善されています。

 入力項目は増えましたが、より実効性のあるものになった印象です。

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ローカルベンチマークの利用マニュアル

ローカルベンチマーク 参考ツール 利用マニュアル


 経済産業省からは、ローカルベンチマーク 「参考ツール」利用マニュアル(2017年3月改訂版) が提供されています。

 エクセルのツールの使い方などが説明されています。

 帝国データバンクがローカルベンチマークの制作に関わっていることが分かります。

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ローカルベンチマークの手引き

企業の健康診断ツール ローカルベンチマークの手引き


 経済産業省からは、「企業の健康診断ツール ローカルベンチマークの手引き」 が提供されています。

 ロカベンの使い方や、活用事例などが紹介されています。

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「労働生産性」の定義・計算式

 ローカルベンチマークでは、「労働生産性=営業利益÷従業員数」という計算方法を採用しています。

 経営力向上計画では「労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量 (労働者数又は労働者数×1人当たり年間就業時間) 」と、定義(計算式)が異なりますのでご注意下さい。

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経営力向上計画とローカルベンチマーク

経営力向上計画とローカルベンチマーク


 経営力向上計画を作成するにあたっては、ローカルベンチマークを用いた経営診断・経営分析を行うことが推奨されています。

 私(知財経営研究社 代表/中小企業診断士)が経営力向上計画の作成支援をする際には、ローカルベンチマークを用いた財務分析までは行わせて頂くケースが多いです。とても簡単ですし、経営者の方に財務状況を分かりやすく説明するのに便利です。

 しかしながら、経営力向上計画の申請では、ローカルベンチマークを記載または添付する必要はありません。つまり必須要件ではありません。

 ただし、経営力向上計画の認定取得の目的が金融支援である場合、経営力向上計画においてローカルベンチマークの財務分析を示しておくと、金融機関とのコミュニケーションが円滑になる場合があります。

 なお、経営力向上計画を作成する際には、国が策定した「事業分野別指針」というものを参照する必要があります。これは、いくつかの業界・業種ごとに取り組むべきことがお手本として示されたものです。
 
 経済産業省は、「ローカルベンチマーク11業種と日本産業分類業種との対照表」なるものを公表していますが、ローカルベンチマークに関しては、業種について特別な配慮は不要です。

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ローカルベンチマークの活用方法

 経済産業省は、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を客観的に把握し、経営力向上に向けた取り組みや事業性評価を適切に行うためにローカルベンチマークを活用して双方が対話(コミュニケーション)を行うことを推奨しています。

 信用保証協会や、地方銀行・第二地銀・信用金庫などの地域の金融機関より金融支援を受けたいという企業の方には、ロカベンを活用した経営診断と、経営力向上計画、そして事業計画書・事業戦略をきちんと作成して金融機関とのコミュニケーションを行ってはいかがでしょうか。
 なお、ローカルベンチマークは個人事業主の方でも利用できますが、国としては一定程度の規模のある企業に特に積極的に利用して欲しいと考えていることでしょう。
 
 金融庁が示した金融仲介機能のベンチマークにおいても、ロカベンの活用が推奨される扱いとなっています。
 このため、企業が資金調達をする上で役立つことでしょう。

 補助金の申請書などにおいて、申請者の財務状況を伝えるために、ローカルベンチマークの財務分析結果を記載する、という使い方もあります。
 この場合は、補助金の審査員の方とのコミュニケーションツールになるということです。

 こうしたツールは活用されなければ意味がありません。政府は、地域企業のロカベンの活用を促すため、金融機関がその役割を果たすように期待しているようです。

 なお、後述しますが、金融機関側にとっては、ローカルベンチマークは事業性評価のツールとなります。

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ローカルベンチマークの記載例記入例

 ローカルベンチマークの記載例・記入例につきましては、ローカルベンチマーク 「参考ツール」利用マニュアル (2017年3月改訂版)にありますので、参考にするといいでしょう。

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ローカルベンチマークと財務情報・財務分析

 ローカルベンチマークで扱う財務情報は、次の6つです。

 ①売上高増加率(売上持続性)
  売上増加率 = (最新期売上高/前期売上高)-1
 ②営業利益率(収益性)
  営業利益率 = 営業利益/最新期売上高
 ③労働生産性(生産性)
  労働生産性 = 営業利益/従業員数
 ④EBITDA有利子負債倍率(健全性)
  EBITDA有利子負債倍率 = (借入金-現金・預金)/(営業利益+減価償却費)
 ⑤営業運転資本回転期間(効率性)
  営業運転資本回転期間 = { 売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産-買入債務(買掛金+支払手形)}/(売上/12)
 ⑥自己資本比率(安全性)
  自己資本比率 = 純資産/負債・純資産合計

 ローカルベンチマークは、現状分析だけでなく、過去から現在に至るまでの傾向分析を行うため、そして今後の経営計画を客観的に評価するためのツールとしても有用です。

 特に、財務情報・財務分析につきましては、状況をレーダーチャート図で示してくれますので、経営状況を「見える化」するツールとして役立ちます。

 初期のローカルベンチマークでは、財務情報は2期分を入力するものでしたが、最新版では3期分を入力するものとなっています。これで、一定の傾向分析ができるようになりました。
 
 記入例(記載例)として予め初期値がシートに入力されていますので、記入した結果のイメージがわかるようになっています。

 最新版では、個人事業の方でも使いやすくするよう工夫されています。

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ローカルベンチマークと非財務情報

 ローカルベンチマークの非財務情報は、客観的に記載することが肝要です。

 自己分析だけでは限界があるかも知れません。

 また、金融機関の方が取引先事業者の分析を行うことがやりづらいということもあるかも知れません。

 このような場合、外部の認定支援機関などが支援するといいと思います。

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知的資産経営とローカルベンチマーク

知的資産経営とローカルベンチマーク

(写真は、金融財政事情研究会様の融資問題研究会 定例セミナーでの筆者作成の講義資料です)

 ローカルベンチマークが開発される過程においては、いわゆる知的資産経営報告書の標準的な書式なども参考にされたようです。

 知的資産経営報告書 を作成する場合もそうですが、経営診断を行う際には、SWOT分析 や クロスSWOT なども行って経営の方向性やビジネスモデルが妥当であるのか確認することが肝要です。

 経産省が提供しているロカベンのマニュアルにおいて参考用に示されているヒアリング事項については、単にロカベンの非財務情報の記載欄に書けばいいというものではありません。

 各項目間の因果関係を分析し、財務情報との因果関係も明らかにしていきます。

 その過程ではバランススコアカード(BSC)の考え方を採り入れることも有用です。

 さらに、自社(または取引先)の今後の経営戦略については、BSCの考え方を採り入れた 戦略マップを用いて「見える化」するとよいでしょう。

 知的資産経営戦略を実践する過程では数値目標としてKPI(Key Performance Indicator)を明確にしておくことが肝要です。
 知的資産は見えにくい資産であるため、概念的、定性的な定義づけしか行われなくなりやすいのです。このため、しっかりと数値目標化することが大切です。

 これらは経営戦略の実践全般にいえることでもあります。
 ローカルベンチマークを活用する上でも、ローカルベンチマークで定義づけられること以外にも必要に応じてKPI(Key Performance Indicator)を明確にすることが大切です。

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ローカルベンチマークと知的財産権

ローカルベンチマークと知的財産


 経産省が公表した、ローカルベンチマーク 「参考ツール」利用マニュアル(2017年3月改訂版)にて、知的財産権についても触れられています。

 この中で、ローカルベンチマークの非財務ヒアリングシートの4つめの視点である、「④内部管理体制」において、「研究開発・商品開発の体制」、「知的財産権の保有・活用状況」を確認することが推奨されています。

 より具体的には、「企業の持続的な成長に必要不可欠である新たな商品・サービスの 開発体制の確認は必須です。また、製品やその製造方法、サービ スの強み等が権利化できているか、知的財産権について把握します。」と説明されています。

 ただし実際には、金融機関の方や、知的財産権に知見の欠ける中小企業支援者の方が「知的財産権の保有・活用状況」を確認することは困難ではないかと思います。

 例えば、中小企業の経営診断を行うにあたっては、SWOT分析は定番の分析ツールです。
 企業が特許を有していると聞いただけで、それを「S(強み)」として評価される方が多いのですが、そのような単純なものではありません。

 知的財産権の価値評価がいかに難しいかは、ブログ「知財金融シンポジウムでも少しだけご紹介しました。
 これにも関連しますが、「知財ビジネス評価書」の平成29年度の公募が6月19日から開始されました。

※関連リンク
 事業性評価と知財ビジネス評価(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
 知財金融ポータルサイト(特許庁)
 知的財産政策におけるローカルベンチマークの活用について(経済産業省)

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知的財産推進計画とローカルベンチマーク

 政府の知的財産戦略本部が発行している「知的財産推進計画2017」において、ローカルベンチマークに関する記述がいくつかあります。
 例えば次のようなものです。

 ”特に融資における知財活用の促進のため、特許庁は、「知財ビジネス評価書」の更なる拡充・改善の取組を進めてきた。こうした「ローカルベンチマーク」や 「知的資産経営報告書」、「知財ビジネス評価書」等を活用しながら、企業経営者と金融機関・支援機関等とが協調連携して、知的財産を始めとした知的資産を活用したビジネスの価値・評価を「見える化」することを通じて、事業性評価やそれに基づく融資、本業支援等の促進や、地域に波及効果の高い地域産業の活性化を図っていくこと が求められている。”

 ”(金融機関における知的財産を活用した中小企業支援の推進として)
 地域金融機関や支援機関が地域企業への事業性評価に基づく融資や地域企業の本業 支援等を行うことを促すため、「ローカルベンチマーク」の周知を行うとともに、さらなる改善の検討を行う。(短期・中期)(経済産業省) ”


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事業承継ガイドラインとローカルベンチマーク

 平成28年12月5日に経産省から事業承継ガイドラインが改訂・公表されました。

 このガイドラインでは、ローカルベンチマークの活用についても触れられています。例えば次のような記述です。

 ①(会社の経営状況の見える化に資する取組みとして)「ローカルベンチマーク」を活用して自社の業界内における位置付け等を客観評価する。

 ②本業の競争力を強化するためには、「中小企業等経営強化法」に基づく「経営力向上計画」を策定・実行することが有効である。「中小企業等経営強化法」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するための「経営力向上計画」を作成・申請し、国から認定を受けることで支援措置が受けられる制度である。
 この申請書の「現状認識」において、財務状況の分析ツールである「ローカルベンチマーク」の活用が想定されている。

事業承継に関する施策・情報

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ローカルベンチマーク作成を支援する公的制度

ローカルベンチマーク作成の支援の流れ


 金融機関のお取引先(中小企業)が、ローカルベンチマークや経営力向上計画の作成を行うために利用できるかも知れない公的制度があります。

 私(知財経営研究社 代表)が執筆しましたWebコラムで、外部の専門家を安くまたは無料で活用する方法 をご紹介しています。

 また、中小企業診断士による無料の経営診断サービス もございます。

 私は、実際にこうした制度を活用して、ローカルベンチマークや経営力向上計画の策定、小規模事業者持続化補助金の経営計画書の作成支援、事業承継に関する提言などを行ったことがございます。

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ローカルベンチマークに関するセミナー・著作物

ローカルベンチマークのセミナーの様子


 私(知財経営研究社 代表)が行わせて頂きましたセミナー等のご紹介です。
 私が企画部長を務めております、一般社団法人城西コンサルタントグループ の会員として行いましたものも含まれております。

(1)セミナー
 金融財政事情研究会/融資問題研究会定例セミナー「中小企業等経営強化法と経営力向上計画」(2016年9月@東京・大阪):数多くの地方銀行、信用金庫の方にご参加いただきました。
 ものづくり補助金・経営力向上計画・ローカルベンチマークセミナー(2016年11月@横浜信用金庫)

(2)Webコラム(トレードショーオーガナイザーズ株式会社)
 「中小企業診断士が語る!知れば得するノウハウ集」Vol.12 経営力向上計画と認定支援機関の役割
 「中小企業診断士が語る!知れば得するノウハウ集」Vol.15 中小企業支援政策の今後の見通し(平成29年度予算の動向)

(3)その他著作物
 経営力向上計画とローカルベンチマークのインタビュー記事@経営情報誌TDB REPORT 143号(帝国データバンク)

ローカルベンチマークの取材記事(帝国データバンク)


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ローカルベンチマークと RESAS

ローカルベンチマークとRESAS


 経産省は、RESASと呼ばれる地域経済分析システムを開発しました。

 ローカルベンチマークの活用によって得られるデータとRESASとを相互に関連づけて、地方経済の分析や振興に活用しようという取り組みが行われています。

 ローカルベンチマークのデータもビッグデータの一部として取り込む考えです。
 従いまして、これを意味あるものとして機能させるためには、できるだけ多くの企業にロカベンを活用して頂き、なおかつRESASと連携できるデータとして取り込む必要があります。

 地域金融機関には、地域企業のローカルベンチマークの活用を促す役割が期待されています。

 金融仲介機能のベンチマークとしては「選択5.事業性評価の結果やローカルベンチマークを提示して対話を行っている取引先数、及び、左記 のうち、労働生産性向上のための対話を行っている取引先数」に盛り込まれています。

 なお、ローカルベンチマークの利用マニュアルにおいても、RESASについて触れられています。

ローカルベンチマークにおける RESASの活用について (経産省)

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ローカルベンチマーク活用戦略会議

 ローカルベンチマークが準備される過程から、「ローカルベンチマーク活用戦略会議」が経産省の旗振りで開催されています。
 議事録が公開されています

 ロカベンの活用状況や事例の研究、改良すべき事項の確認、RESASを活用した地域経済分析などが行われています。

 私(知財経営研究社 代表)は、昨年(平成28年)の12月頃に帝国データバンク様のインタビューを受け、ロカベンの財務分析では、傾向分析をしやすくするように改良して頂きたい旨をお伝えしました。

 今年(平成29年)3月に公開された、改訂版のローカルベンチマークでは、それが反映されていました。
 私以外にも、そのような意見を述べる方がおられたのだと思います。

※帝国データバンク様は、ローカルベンチマークのシステム開発を行っています。また、ローカルベンチマーク活用戦略会議の参加メンバです。

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ローカルベンチマークと事業性評価

 国は金融機関に対して、事業性評価にもっと取り組むように働きかけています。

 ローカルベンチマークを参考にして「事業性評価シート」を作成している金融機関もあるそうですが、ツールばかり作ってもあまり生産的・効率的とはならないのではないでしょうか?

 事業性評価では、財務情報や担保などを過度に重視しない評価が求められますが、やはり財務情報は重要ですし、経営者の資質も見なければなりません。

 ローカルベンチマークをベースに、または各金融機関が有している既存の書式を利用しつつ過不足の情報を省略したり、追加したりして、つまり運用を工夫することで事業性評価に活用できるのではないかと思います。
 わざわざ別の書式となる「事業性評価シート」を作成するのがいいとも限らないはずです。

 「ローカルベンチマークを活用し、事業性評価による新規融資を積極的に取組む」としている金融機関があります。
 その例が、淡陽信用組合 です。

 また、但陽信用金庫は、「金融仲介機能のベンチマーク」に関する公表において、事業性評価の結果やローカルベンチマークを提示して対話を行っている取引先数等を公表しています。

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ローカルベンチマークの参考文献

 ローカルベンチマーク 「参考ツール」利用マニュアル(2017年3月改訂版/経済産業省)

 ローカルベンチマークの手引き (経済産業省)

 知的財産政策におけるローカルベンチマークの活用について(経済産業省)

 ローカルベンチマークにおけるRESASの活用について (経済産業省)

 ローカルベンチマークの活用について (群馬県中小企業団体中央会)

 なぜ今、「事業性評価」に取り組むのか?(信金中央金庫)

 地域金融機関に期待される役割 (金融庁監督局)

 銀行業務検定試験 新規種目『事業性評価3級』試験要項 (銀行業務検定協会)

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金融仲介機能のベンチマーク とは?

金融仲介機能のベンチマークとは


 金融仲介機能のベンチマークとは、金融機関が仲介機能を発揮して取引先企業の成長や地域経済の活性化等に貢献していくための、金融機関が自己評価するためのチェック項目・指標です。
 金融仲介機能とは、融資に代表されるような借り手と貸し手の仲介を行う機能のことです。
 ベンチマークとは、比較のための指標のことです。

 全55指標(55項目)のベンチマークは、大きく3つに分類されます。

 1つめは「共通ベンチマーク」です。これは、全ての金融機関が金融仲介の取組みの進捗状況や課題等を客観的に評価するために活用が求められるものです。5指標あります。

 2つめは「選択ベンチマーク」です。これは、各金融機関が自身の事業戦略やビジネスモデル等を踏まえて選択して活用するものです。50指標あります。これで合計55指標(55項目)となります。

 3つめは「独自ベンチマーク」です。これは、各金融機関が独自に設定するものです。

 金融仲介機能のベンチマークは平成28年9月に金融庁が公表しました。

 平成28年10月には、「平成28事務年度 金融行政方針」も公表され、この中でも金融仲介機能発揮に向けた取組みについて触れられており、金融仲介機能のベンチマーク策定の経緯等についてもうかがい知ることができます。

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金融検査マニュアルと金融仲介機能のベンチマーク

 これまでの「金融検査マニュアル」との関係性がどうなっていくのか、気になるところですね。

 最新(平成28事務年度)の金融行政方針では金融検査マニュアルに関する記述がありませんでした。

 金融仲介機能のベンチマークが期待通りに機能すれば、金融検査マニュアルの役割は終わるという見方もあるようです。

 一方で、金融検査マニュアルを刷新して存続させるという報道もあります。
 「銀行検査、稼ぐ力に重点 金融庁がマニュアル刷新へ」(2017年2月24日 日本経済新聞)

 実質的に廃止するが、簡素化して、金融庁の監督指針と統合して存続させる?といった情報もあり、結局のところ、まだよくわかりません。

 いずれにしましても、「金融仲介機能のベンチマーク」との整合は図られるのではないかと思います。

 金融庁が金融機関に対して金融検査マニュアルの履行状況と金融仲介機能のベンチマークの両方について報告することをような運用はいかがなものかと思います。

 平成29年6月8日の日経新聞(Web)の記事に、「金融庁「強権」を封印 銀行検査、抜本見直し」という見出しのものがありました。この記事では金融検査マニュアルが廃止となるというようなことが書かれていました。
 どうなるのでしょうか?
 ちなみに、この記事では「金融庁は昨年9月、地銀に地元企業への融資件数などを定量的に測れる新たな指標を導入した。」と述べています。これはまさに、金融仲介機能のベンチマークのことです。


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金融仲介機能のベンチマークの定義集

 金融庁が金融機関向けに説明会を行った際に定義集が配布されたということのようですが、Webサイトからは公表されていないようです。

 用語の解釈がバラつくであろうから定義集もダウンロードできるようにして欲しいという考えもあるようですが、そうした用語の解釈や定義も含めて、まずは各金融機関の自主性に委ねようとしているのだろうと思います。

 後の、共通ベンチマークの箇所でも記していますが、たとえば愛知銀行の場合です。

 「経営指標」は、売上・営業利益率・経営利益率・従業員数の4項目としています。
 このうち、1項目以上 改善した取引先を、経営指標が改善した取引先と定義しています。

 「融資条件の変更を行った先」は、証書貸付の条件を変更した先と定義しています。

 事業性評価の定義は、「事業性評価シートを作成し実態把握をしていること」と定義しています。

 青森銀行の場合は、報告書類の末尾に、定義リストを添付しています。

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金融行政方針と金融仲介機能のベンチマーク

 金融庁が示した、「平成28事務年度 金融行政方針」における関連内容をピックアップします。

①金融機関の取組みについての実態把握 ( 「日本型金融排除」の実態把握 など)

 十分な担保・保証のある先や高い信用力のある先以外に対する金融機関の取組みが十分でないために、企業価値の向上が実現できず、金融機関自身もビジネスチャンスを逃している状況(「日本型金融排除」)が生じていないかについて、実態把握を行う。

②金融仲介の質の向上に向けての金融機関との深度ある対話

 多くの金融機関が経営理念の中で、金融仲介機能を発揮し、取引先企業のニーズに応じた融資やソリューションの提供により、企業の成長に貢献していく方針を掲げているにもかかわらず、顧客に対し理念通りの行動ができていない金融機関も少なからずあるように見受けられる。
 どうすれば金融仲介の質を一層高めていけるか、上記① の実態把握や先般公表した「金融仲介機能のベンチマーク」等の客観的な指標を活用し、金融機関との間で深度ある対話を進めていく。

③開示の促進等を通じた良質な金融サービスの提供に向けた競争の実現

 ・金融機関に対し、金融仲介機能の発揮状況について、積極的かつ具体的に開示するよう促す。

 ・事業性評価に基づく融資や本業支援等の優良な取組みを行っている金融機関を公表、表彰する。

 ・「経営者保証に関するガイドライン」及びその活用状況の金融機関による開示を更に促す。

④金融仲介の更なる発揮に向けた関係機関との連携促進

 ・金融機関に対し、顧客企業による外部の専門人材の活用に当たっては、地域活性化・事業再生ファンド、地域経済活性化支援機構(REVIC)及び日本人材機構との密接な連携やその機能の積極的な活用を促す。

 ・金融機関に対し、REVIC の経営者保証付債権等の買取り、整理業務の積極的な活用を促す。

 ・信用保証制度について、事業者が自主的に経営改善に取り組むことを前提に、金融機関及び信用保証協会が事業者への経営改善支援に積極的に取り組むインセンティブが働くような制度の見直しの趣旨に沿った対応が進むよう金融機関と対話を行う。

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フィデューシャリー・デューティー

 金融庁は、「平成28事務年度 金融行政方針」の中で、金融機関等による顧客本位の業務運営フィデューシャリー・デューティー)の確立と定着をテーマとして掲げています。

 金融機関による顧客本位の取組みの自主的な開示の促進を具体施策に挙げています。

 金融仲介機能のベンチマークでは、各金融機関における解釈や定義が異なりますので、単純比較することは困難です。しかしながら、各金融機関におけるフィデューシャリー・デューティーへの取り組み状況の把握がしやすくなると期待されています。

 金融機関の情報開示に対する姿勢は、顧客側からもより関心を持って評価されることになっていくのだろうと思います。
 金融機関はますます取引先から選ばれる時代へとなっていくことでしょう。

「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択し、取組方針を公表した金融事業者のリストの公表について(金融庁)

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金融仲介機能のベンチマーク策定の趣旨

 金融庁は、このベンチマークの策定の主旨について、次の①~⑤のように述べています。

 ①多くの金融機関は、その経営理念や事業戦略等において、金融の仲介機能を発揮し、取引先企業のニーズや課題に応じた融資やソリューション(解決策)の提供等を行うことにより、取引先企業の成長や地域経済の活性化等に貢献していく方針を掲げている。

 ②他方、企業からは、「金融機関は、相変わらず担保・保証に依存しているなど対応は変わっていない」といった声が依然として聞かれる。昨事務年度に実施した企業ヒアリングでは、多くの企業が、金融機関に対して、事業の理解に基づく融資や経営改善等に向けた支援を求めていることが明らかとなった。

 ③また、監督・検査を通じて、金融機関によって金融仲介の取組みの内容や成果に相当の差があること、また、企業から評価される金融機関は、取引先企業のニーズ・課題の把握や経営改善等の支援を組織的・継続的に実施することにより、自身の経営の安定にもつなげていることなどが確認された。

 ④金融機関が、自身の経営理念や事業戦略等にも掲げている金融仲介の質を一層高めていくためには、自身の取組みの進捗状況や課題等について客観的に自己評価することが重要である。

 ⑤こうした考え方の下、有識者会議(「金融仲介の改善に向けた検討会議」)での議論等も踏まえ、金融機関における金融仲介機能の発揮状況を客観的に評価できる多様な指標(「金融仲介機能のベンチマーク」(別紙))を策定・公表する。
 
【弊コメント】
 金融庁や金融機関側からは言いにくいことなのかも知れませんが、事業性評価融資を受けるためには、企業側からも適切に金融機関とコミュニケーションを図っていくことが求められます。

 つまり、企業側が事業性評価融資を受けられない場合、その原因は必ずしも金融機関側の姿勢に問題があるとは限らないということです。

 コミュニケーションの手段の1つとして、前述のローカルベンチマークが提供されました。
 企業側にも自社の事業や商品・サービスの魅力をより上手に伝える工夫と努力が求められるということだと思います。

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金融仲介機能のベンチマークの活用

 金融庁は、このベンチマークの活用について、次の(1)~(3)のように述べています。

(1) 自己点検・評価
 ベンチマークの具体的項目については、全ての金融機関が金融仲介の取組みの進捗状況や課題等を客観的に評価するために活用可能な「共通ベンチマーク」と、各金融機関が自身の事業戦略やビジネスモデル等を踏まえて選択できる「選択ベンチマーク」を提示している。
 これらに加え、金融機関において金融仲介の取組みを自己評価する上でより相応しい独自の指標がある場合には、その指標を活用することも歓迎したい。
 今後、金融機関との対話等を通じて見直しを行いながら、ベンチマークを関係者にとって納得感のある、より良いものにしていきたい。

(2) 自主的開示
 企業にとっては、自らのニーズや課題解決に応えてくれる金融機関を主体的に選択できるための十分な情報が提供されることが重要であり、金融機関においては、ベンチマークを用い、自身の金融仲介の取組みを積極的かつ具体的に開示し、企業との間の情報の非対称性の解消に努めていただきたい。

(3) 対話の実施
 金融機関における金融仲介の取組みについては、単一のベストプラクティスがあるわけではなく、それぞれの金融機関が自主的に創意工夫を発揮して、企業の価値向上に資するような取組みを検討・実施していくべきものである。
 監督当局としては、各金融機関における取組みの進捗状況や課題等について、他の金融機関との比較を含め、出来る限り具体的に把握し、それに基づき、各金融機関が金融仲介の質を高めていけるような、効果的な対話を行っていきたい。

【弊コメント】
 金融モニタリング有識者会議の報告書によれば、金融行政の役割はベストプラクティスの追求に向けた対話であるとしています。

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金融仲介機能の改善に向けて

 金融庁は、こ金融仲介機能の改善に向けて、次の①~②のように述べています。

 ①金融機関が、取引先企業の事業の実態をよく理解し、融資やコンサルティングに取り組むことによりそのニーズや課題に適切に応えていくことは、企業の価値向上や生産性向上を通じて我が国経済の持続的成長につながるとともに、金融機関自身の経営の安定にも寄与するものである。

 ②金融機関においては、ベンチマークの趣旨や目的をよく理解し、企業の価値向上等に資する金融仲介の取組みの実績を着実に上げていくことを期待している。
 
【弊コメント】
  中小企業等経営強化法や経営力向上計画を意識した記述になっていると思います。

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事業性評価と金融仲介機能のベンチマーク (平成29年7月16日 追加)

 金融庁は、「金融仲介機能のベンチマーク」を通じて、地方銀行など地域金融機関に対して、事業性評価の推進を促しています。
 金融仲介機能のベンチマークでは、事業性評価に関しては次の事項(指標)を採り上げています。

共通ベンチマーク5
 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

選択ベンチマーク5
 事業性評価の結果やローカルベンチマークを提示して対話を行っている取引先数、及び、左記のうち、労働生産性向上のための対話を行っている取引先数
 
選択ベンチマーク6
 事業性評価に基づく融資を行っている与信先の融資金利と全融資金利との差


事業性評価と事業性評価融資
 
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地域密着型金融と金融仲介機能のベンチマーク

 これまで、「地域密着型金融」という切り口で、金融仲介機能のベンチマークに関連する情報を開示してきた金融機関が多くあります。

 こうした金融機関では、「地域密着型金融」という切り口での開示を継続しつつ、金融仲介機能のベンチマークに関する情報を付加する形で情報開示するという方式をとっているところもあります。

 例えば、静岡銀行、栃木銀行、名古屋銀行、武蔵野銀行などです。

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産学連携と金融仲介機能のベンチマーク

 地域金融機関と、地域の大学では、ともに地域経済に貢献することが期待されている点で共通項があります。

 このため、多くの地域金融機関と、地域の大学とが、産学連携協定を結んでいます。

 しかしながら、それがどの程度機能しているかどうかは、かなりバラツキがあるように見受けられます。

 産学連携に熱心でなおかつ、成果を上げている金融機関では、産学連携支援を独自ベンチマークに掲げているところもあります。

 例えば、池田泉州銀行関西アーバン銀行です。

 みちのく銀行では、「共通ベンチマーク3 中小企業の経営支援に関する取組状況」の中で産学連携の活動状況を開示しています。

 岩手銀行、百五銀行、千葉銀行、七十七銀行なども、産学連携について言及しています。

 ほんの一部の例ですが次の信用金庫も、産学連携に取り組んでおられます。
 朝日信用金庫大阪信用金庫川崎信用金庫神戸信用金庫埼玉縣信用金庫シグマバンクグループ湘南信用金庫城南信用金庫巣鴨信用金庫西武信用金庫多摩信用金庫東京東信用金庫横浜信用金庫

 産学連携は、私(知財経営研究社代表)の得意分野です。

 金融機関様としましては、原則として、東京都、埼玉県、神奈川県の方に限らせて頂きますが、共同研究の支援などにつきまして、ご相談頂ければと存じます。

産学連携・医工連携に取り組む中小企業診断士(知財経営研究社 代表)

 現在、金融機関の方からのご相談を契機とする、そのお取引先企業様の産学連携共同研究プロジェクト等の支援をさせて頂いております。
 公的支援制度も活用しながら、取り組ませて頂いております。

※関連ニュース
 愛知銀行と日本福祉大学、産学連携の推進で協定(日経新聞)
 「産学協働コーディネータ」 群馬銀行員10人に称号 群馬大、新規事業支援で (日経新聞)

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どのステークホルダーに情報を発信するか?

金融仲介機能のベンチマークのステークホルダー


 金融庁の金融仲介機能のベンチマークの項目どおりに、自行庫の金融仲介機能の情報を整理して開示すれば、金融庁の方にとっては分かりやすいかも知れません。

 しかし、一般の取引先にとっては、必ずしもそうとは限りません。

 ベンチマーク自体は、「見える化」のツールだとしても、それをどのように「見せる化」するのかは、工夫の余地があります。

 例えば、青森銀行は、取引先にとって分かりやすいように工夫して開示している感があります。

 一方、例えば福岡中央銀行は、金融仲介機能のベンチマークの順番で開示していますので、このベンチマークに照らして情報を把握しようとしている者にとりましては分かりやすいと思います。

 金融機関としては、このベンチマークを公表する際に、どのような目的と戦略をもって取り組むべきかを考えることになろうかと思います。

 そして、どのステークホルダーに、どういったメッセージを発するのかを決めていくことになるでしょう。

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金融庁の平成29年度予算

 金融庁では、平成29年度予算案の中で「金融仲介機能の質の改善を通じた地域企業の生産性向上のための支援」として0.2億円を計上しています。

 地域金融機関による取引先企業への事業性評価に基づく融資や地域企業の生産性向上 に繋がるコンサルティング機能の促進に取り組むということです。

 金融仲介機能のベンチマーク、ローカルベンチマーク、経営力向上計画に関連するものです。

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共通ベンチマークとは?

共通ベンチマークとは


 共通ベンチマークとは、全ての金融機関が取り組むべきことに関するベンチマークです。試験に例えれば「必修科目」のようなものです。

 ただし、「金融仲介機能のベンチマーク」に沿って開示するのではなく自行なりに伝え方を工夫したレポートで開示されているケースもあり、共通ベンチマークの何の指標がどこに書かれているかはレポートを一通り読んでみないと分からないといったケースもあります。

 共通ベンチマークとしては、次の5指標が規定されています。

(1)取引先企業の経営改善や成長力の強化

1. 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額 の推移

 たとえば愛知銀行の場合、「経営指標」は、売上・営業利益率・経営利益率・従業員数の4項目としています。
 このうち、1項目以上 改善した取引先を、経営指標が改善した取引先としています。

(2)取引先企業の抜本的事業再生等による 生産性の向上

2. 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況

 たとえば愛知銀行の場合、融資条件の変更を行った先は、証書貸付の条件を変更した先としています。

3. 金融機関が関与した創業、第二創業の件数

4. ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)

【弊コメント】
 「ライフステージ」は、主に次の5ステージに区切っているところが多いようです。
 ①創業期、②成長期、③安定期、④低迷期、⑤再生期

 なお、ライフステージに応じた信用保証の利用のあり方もセットで考えるべきことかと思います。
 これにつきましては、次の文献がとても参考になります。

 「信用保証制度改革に対する誤解を正す」(独立行政法人経済産業研究所/家森 信善 氏)


(3)担保・保証依存の融資姿勢からの転換

5. 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、 全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

※たとえば愛知銀行の場合、事業性評価の定義は、「事業性評価シートを作成し実態把握をしていること」としています。

 
【弊コメント】

 金融庁はこのベンチマークを通じて、金融機関に事業性の評価に基づく融資等、担保・保証に過度に依存しない融資の実践を指導しています。

 信用保証制度に対して「過度に依存しない」とはどういうことであるかということにつきましては、次の文献がとても参考になります。
 「信用保証制度改革に対する誤解を正す」(独立行政法人経済産業研究所/家森 信善 氏)

 なお、企業側には、事業性評価に基づく融資を受けるためには自社の事業の内容や自社の強みをしっかりと金融機関に伝える努力が求められます。

 このため、経営力向上計画やローカルベンチマークを用いた経営診断、知的資産経営報告書などを作成し自社の情報を分かりやすく、説得力を高めるようにされることをご検討されてはいかがかと思います。


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選択ベンチマークとは?

選択ベンチマークとは


【弊コメント】

 選択ベンチマークとは、各金融機関が自行庫を取り巻く事業環境、地域特性、経営戦略、構築すべきビジネスモデルなどを踏まえて取り組むべきことに関するベンチマークです。

 14項目に関して50の指標が規定されています。

 何を選択し、どのレベルを目標水準とするか、各ベンチマークに登場する言葉の定義や解釈などについて、それぞれの金融機関が独自に考えて取り組むことが求められます。

 選択ベンチマークについては金融機関の方は他の銀行、他の信用金庫がどの程度の対応をしているのか気になるかも知れませんね。

 ただし、自行庫の経営戦略に合わせ、重点領域を明らかにする勇気が必要なのだろうと思います。

 各指標を網羅的にカバーしようとすると、かえって戦略の欠如を示すものにもなりかねません。

 共通ベンチマークと重複しているような要素もあり、開示する側も情報を読む側も戸惑うところがあると思います。

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選択ベンチマーク (1)地域へのコミットメント・ 地域企業とのリレーション

 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

1. 全取引先数と地域の取引先数の推移、及び、地域の企業数との比較(先数単体ベース)

2. メイン取引(融資残高1位)先数の推移、及び、全取引先数に占める割合(先数単体ベース)

3. 法人担当者1人当たりの取引先数

4. 取引先への平均接触頻度、面談時間

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選択ベンチマーク (2)事業性評価に基づく融資等、 担保・保証に過度に依存しない融資

 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

5. 事業性評価の結果やローカルベンチマークを提示して対話を行っている取引先数、及び、左記 のうち、労働生産性向上のための対話を行っている取引先数

6. 事業性評価に基づく融資を行っている与信先の融資金利と全融資金利との差

7. 地元の中小企業与信先のうち、無担保与信先数、及び、無担保融資額の割合(先数単体ベース)

8. 地元の中小企業与信先のうち、根抵当権を設定していない与信先の割合(先数単体ベース)

9. 地元の中小企業与信先のうち、無保証のメイン取引先の割合(先数単体ベース)

10. 中小企業向け融資のうち、信用保証協会保証付き融資額の割合、及び、100%保証付き融資額の割合

11. 経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)


【弊コメント】

 選択5で、ローカルベンチマークの活用を促すものとなっています。

 選択11の「経営者保証に関するガイドライン」は、円滑な事業承継に向けた準備をする上でも関連性のあるものとなっています。
 事業承継に関する指標としては、「選択21 事業承継支援先数」があります。
 平成30年(平成29年度補正予算)の事業承継補助金の公募がまもなく開始されるものと思われます。

事業性評価とは 事業性評価融資とは

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選択ベンチマーク (3)本業(企業価値の向上)支援・ 企業のライフステージに応じたソリューションの提供

選択ベンチマークの一覧


 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

12. 本業(企業価値の向上)支援先数、及び、全取引先数に占める割合

13. 本業支援先のうち、経営改善が見られた先数

14. ソリューション提案先数及び融資額、及び、全取引先数及び融資額に占める割合

15. メイン取引先のうち、経営改善提案を行っている先の割合

16. 創業支援先数(支援内容別)

17. 地元への企業誘致支援件数

18. 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)

19. M&A支援先数

20. ファンド(創業・事業再生・地域活性化等)の活用件数

21. 事業承継支援先数

22. 転廃業支援先数

23. 事業再生支援先における実抜計画策定先数、及び、同計画策定先のうち、未達成先の割合

24. 事業再生支援先におけるDES・DDS・債権放棄を行った先数、及び、実施金額 (債権放棄額にはサービサー等への債権譲渡における損失額を含む、以下同じ)

25. 破綻懸念先の平均滞留年数

26. 事業清算に伴う債権放棄先数、及び、債権放棄額

27. リスク管理債権額(地域別)

事業承継に関する施策・情報
 事業承継補助金(平成30年/平成29年度補正予算)の公募が間もなく開始されるものと思われます。


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選択ベンチマーク (4)経営人材支援

選択ベンチマークと経営支援人材


 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

28. 中小企業に対する経営人材・経営サポート人材・専門人材の紹介数(人数ベース)

29. 28の支援先に占める経営改善先の割合

【弊コメント】
 私(知財経営研究社代表)が企画部長を務めております、城西コンサルタントグループでは、金融機関のお取引先の経営支援を行っております。
 中小企業の皆さまの経営を改善したいという、誠意と熱意をもった会員で構成されています。

 上の写真は、JCGが行いました、経営戦略セミナーの様子です。

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選択ベンチマーク (5)迅速なサービスの提供等顧客 ニーズに基づいたサービスの 提供

 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

30. 金融機関の本業支援等の評価に関する顧客へのアンケートに対する有効回答数

31. 融資申込みから実行までの平均日数(債務者区分別、資金使途別)

32. 全与信先に占める金融商品の販売を行っている先の割合、及び、行っていない先の割合 (先数単体ベース)

33. 運転資金に占める短期融資の割合

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選択ベンチマーク (6)業務推進体制

選択ベンチマークと業務推進体制


 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

34. 中小企業向け融資や本業支援を主に担当している支店従業員数、及び、全支店従業員数 に占める割合

35. 中小企業向け融資や本業支援を主に担当している本部従業員数、及び、全本部従業員数 に占める割合

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選択ベンチマーク (7)支店の業績評価

 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

36. 取引先の本業支援に関連する評価について、支店の業績評価に占める割合

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選択ベンチマーク (8)個人の業績評価

 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

37. 取引先の本業支援に関連する評価について、個人の業績評価に占める割合

38. 取引先の本業支援に基づき行われる個人表彰者数、及び、全個人表彰者数に占める割合

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選択ベンチマーク (9)人材育成

選択ベンチマークと人材育成


 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

39. 取引先の本業支援に関連する研修等の実施数、研修等への参加者数、資格取得者数

【弊コメント】
 私(知財経営研究社代表)が、企画部長を務めております、城西コンサルタントグループでは、金融機関のお取引先の経営支援を行っております。
 金融機関の方を含む、認定支援機関向けの研修(上の写真)も行っております。

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選択ベンチマーク (10)外部専門家の活用

 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

40. 外部専門家を活用して本業支援を行った取引先数

41. 取引先の本業支援に関連する外部人材の登用数、及び、出向者受入れ数(経営陣も含めた役職別)


【弊コメント】
 約120名の中小企業診断士等で構成しております、城西コンサルタントグループでは、金融機関のお取引先の経営力向上に向けたお手伝いをご提案しております。
 私(知財経営研究社 代表)は、城西コンサルタントグループの企画部長を務めております。

 私が執筆しましたWebコラムで、お取引先(中小企業)が外部の専門家を安くまたは無料で活用する方法をご紹介しています。

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選択ベンチマーク (11)他の金融機関及び中小企業支援策との連携

 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

42. 地域経済活性化支援機構(REVIC)中小企業再生支援協議会の活用先数

43. 取引先の本業支援に関連する中小企業支援策の活用を支援した先数

44. 取引先の本業支援に関連する他の金融機関、政府系金融機関との提携・連携先数


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選択ベンチマーク (12)収益管理態勢

 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

45. 事業性評価に基づく融資・本業支援に関する収益の実績、及び、中期的な見込み

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選択ベンチマーク (13)事業戦略における位置づけ

 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

46. 事業計画に記載されている取引先の本業支援に関連する施策の内容

47. 地元への融資に係る信用リスク量と全体の信用リスク量との比較

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選択ベンチマーク (14)事業戦略における位置づけガバナンスの発揮

 本項目に関しては、次のような指標が提示されています。

48. 取引先の本業支援に関連する施策の達成状況や取組みの改善に関する取締役会における検討頻度

49. 取引先の本業支援に関連する施策の達成状況や取組みの改善に関する社外役員への説明頻度

50. 経営陣における企画業務と法人営業業務の経験年数(総和の比較)

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独自ベンチマークとは?

 金融庁は、共通ベンチマークと選択ベンチマーク以外にも、各金融機関において金融仲介の取組みを自己評価する上でより相応しい独自の指標がある場合には、その指標を活用することも歓迎したいと伝えています。

 独自ベンチマークとは、これを踏まえて各金融機関が独自に設定した指標です。

 例えば、池田泉州銀行では、独自ベンチマークとして、①経営改善提案を行っている先数、②産学連携件数、③技術マッチング件数、④当行助成金応募件数、⑤公的機関による認証等の支援件数の5つを設定しています。

 また、みちのく銀行では、①営業利益改善支援活動における提案件数等、②営業利益改善支援活動における営業店評価、③営業地域の商流・雇用に与えた影響度・貢献度、の3つをオリジナルの指標として設定しています。

 但陽信用金庫のように、認定支援機関としての「各種補助金・助成金申請支援」の実績、を独自ベンチマークとして設定している金融機関もあります。
この「各種補助金」には、ものづくり補助金事業承継補助金などが含まれるものと思われます。

 金融庁は、独自ベンチマークの設定を歓迎する姿勢を示すことで、各金融機関が独自の経営戦略を打ち出すことを促しているといえるでしょう。

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金融仲介機能のベンチマークを公表した地方銀行・第二地方銀行

金融仲介機能のベンチマークを公表した地方銀行と信用金庫


 新たに「金融仲介機能のベンチマーク」を公表した地方銀行を追加しました。

 例えば次のような銀行がディスクロージャー誌等で公表しています。

 「地域密着型金融の推進」、「金融仲介機能の取組み状況」といった表現を用いています。
 
 愛知銀行
 青森銀行
 秋田銀行  ※訂正情報あり(2017年5月9日掲載)
 足利銀行
 阿波銀行
 池田泉州ホールディングス  ※コメント ※訂正情報あり(2018年1月30日掲載)
 伊予銀行
 岩手銀行
 愛媛銀行
 大分銀行
 大垣共立銀行
 沖縄海邦銀行
 沖縄銀行
 鹿児島銀行(九州フィナンシャルグループ)
 神奈川銀行
 関西アーバン銀行
 北九州銀行
 北日本銀行
 九州フィナンシャルグループ(肥後銀行・鹿児島銀行)
 紀陽銀行
 京都銀行
 きらぼし銀行(東京TYフィナンシャルグループ)
 きらやか銀行
 近畿大阪銀行
 熊本銀行(ふくおかフィナンシャルグループ)
 群馬銀行
 京葉銀行
 高知銀行
 西京銀行  (平成30年3月期 第2四半期 決算報告)
 埼玉りそな銀行
 佐賀共栄銀行
 佐賀銀行
 山陰合同銀行
 滋賀銀行
 四国銀行
 静岡銀行
 静岡中央銀行  (平成30年5月11日更新)
 七十七銀行
 島根銀行
 清水銀行
 十八銀行
 十六銀行
 荘内銀行
 常陽銀行
 親和銀行(ふくおかフィナンシャルグループ)
 仙台銀行
 大光銀行
 第三銀行
 第四銀行
 「第四銀行グループ ESGへの取組方針」の制定および 地方創生の取組紹介冊子「地方創生の実現に向けて」の発行について  (平成30年5月11日)
 大正銀行
 大東銀行
 但馬銀行
 筑邦銀行 (平成30年5月28日更新)
 千葉銀行
 中京銀行 (第16次中期経営計画の取組状況)
 中国銀行  (平成30年1月30日)
 筑波銀行  
 東京スター銀行
 東京TYフィナンシャルグループ(きらぼし銀行)
 ※東京TYフィナンシャルグループの傘下には、東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京があります。
 東邦銀行  ※アップデートされています
 東北銀行
 東和銀行
 徳島銀行
 栃木銀行
 鳥取銀行
 トマト銀行
 富山銀行
 富山第一銀行
 長野銀行
 名古屋銀行
 南都銀行
 八十二銀行
 東日本銀行・横浜銀行
 肥後銀行(九州フィナンシャルグループ)
 百五銀行
 百十四銀行  (平成30年1月29日)
 広島銀行
 福井銀行
 福岡銀行(ふくおかフィナンシャルグループ)
 福岡中央銀行
 福島銀行
 福邦銀行
 北越銀行
 北都銀行
 ほくほくフィナンシャルグループ(北陸銀行・北海道銀行)
 北洋銀行
 三重銀行
 みちのく銀行(平成29年2月6日)
 みちのく銀行(平成29年8月10日)
 みなと銀行
 南日本銀行
 宮崎銀行
 宮崎太陽銀行
 武蔵野銀行    ※コメント
 もみじ銀行
 八千代銀行(きらぼし銀行)
 山形銀行
 山口銀行
 山梨中央銀行  ※訂正情報あり(7月12日掲載)
 横浜銀行・東日本銀行
 琉球銀行

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金融仲介機能のベンチマークを公表した信用金庫信用組合

 信用金庫・信用組合でも、金融仲介機能ベンチマークを公表するところが増え始めました。
 取り組みに関して情報開示を行うところも増えています。
 今後、信用金庫・信用組合でも公表するところがさらに増えてくると予想します。

 会津信用金庫    ※コメント
 青い森信用金庫
 あかぎ信用組合
 秋田信用金庫
 旭川信用金庫    ※コメント
 朝日信用金庫
 網走信用金庫
 あぶくま信用金庫
 アルプス中央信用金庫
 飯田信用金庫
 石巻商工信用組合 (「金融仲介機能のベンチマーク」そのものではありません)
 一関信用金庫    ※コメント
 伊万里信用金庫
 磐田信用金庫
 羽後信用金庫
 永和信用金庫
 遠軽信用金庫
 青梅信用金庫
 大分信用金庫 (取り組む旨の宣言のみです)
 大阪厚生信用金庫
 大阪シティ信用金庫
 大阪商工信用金庫
 大阪信用金庫
 掛川信用金庫 (「金融仲介機能のベンチマーク」そのものではありません)
 鹿児島信用金庫   ※コメント
 柏崎信用金庫
 かながわ信用金庫 (平成30年1月29日)
 蒲郡信用金庫
 川之江信用金庫
 北おおさか信用金庫
 北空知信用金庫
 北見信用金庫    ※コメント
 きのくに信用金庫
 京都中央信用金庫
 京都北都信用金庫
 桐生信用金庫
 近畿産業信用組合
 熊本第一信用金庫
 呉信用金庫
 湖東信用金庫
 埼玉縣信用金庫 (「金融仲介機能のベンチマーク」そのものではありません)
 さわやか信用金庫
 滋賀中央信用金庫
 しののめ信用金庫  ※コメント
 しまなみ信用金庫
 しまね信用金庫  (2018年1月24日更新)
 島根中央信用金庫
 上越信用金庫    ※コメント
 城南信用金庫
 城北信用金庫   ※コメント
 白河信用金庫
 新湊信用金庫
 須賀川信用金庫
 巣鴨信用金庫
 諏訪信用金庫
 静清信用金庫
 西武信用金庫    ※コメント
 青和信用組合    ※コメント
 高松信用金庫 (「金融仲介機能のベンチマーク」そのものではありません)
 高山信用金庫
 但陽信用金庫    ※コメント
 淡陽信用組合 (「金融仲介機能のベンチマーク」そのものではありません)
 銚子商工信用組合
 鶴岡信用金庫
 東榮信用金庫
 東京東信用金庫
 鳥取信用金庫
 豊川信用金庫
 豊田信用金庫
 豊橋商工信用組合 (「金融仲介機能のベンチマーク」そのものではありません)
 豊橋信用金庫
 長野県信用組合   ※コメント
 中ノ郷信用組合
 長野信用金庫
 長浜信用金庫
 西中国信用金庫
 日新信用金庫
 のと共栄信用金庫
 萩山口信用金庫
 飯能信用金庫
 尾西信用金庫
 日高信用金庫
 飛騨信用組合    ※コメント
 兵庫県信用組合 (「金融仲介機能のベンチマーク」そのものではありません)
 兵庫信用金庫
 枚方信用金庫
 福井信用金庫
 富士信用金庫
 富士宮信用金庫 (「金融仲介機能のベンチマーク」そのものではありません)
 文化産業信用組合
 三島信用金庫
 水島信用金庫
 室蘭信用金庫
 焼津信用金庫    ※コメント
 横浜信用金庫
 米子信用金庫
 両備信用組合
 稚内信用金庫

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IT導入補助金と金融ベンチマーク

補助金と金融仲介機能のベンチマーク


 IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)の第二次公募は、平成29年6月30日で終了しました。
 平成29年8月4日に、補助事業者の二次公募について採択決定の公表がありました。
 なお、IT導入補助金は平成29年度補正予算において計上されておりますので、次回の募集は、平成30年に行われる見通しです。

 IT導入補助金は、ITツール(ソフトウエア、サービス等)のサービスを導入しようとする事業者に対して、その事業費等の経費の一部を補助することにより、中小企業・小規模事業者の経営力向上を図ることを目的としています。

 これらは、金融仲介機能のベンチマークとしては次の指標と関連性が高いものです。

 選択12 本業(企業価値の向上)支援先数、及び、全取引先数に占める割合
 選択14 ソリューション提案先数及び融資額、及び、全取引先数及び融資額に占める割合
 選択18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)
 選択28 中小企業に対する経営人材・経営サポート人材・専門人材の紹介数(人数ベース)
 選択40 外部専門家を活用して本業支援を行った取引先数
 選択43 取引先の本業支援に関連する中小企業支援策の活用を支援した先数

 この補助金の活用を具体的に検討する前に、経営課題を整理して優先度を確認し、その経営課題を解決するためにどのようなIT活用が効果的であるかをよく検討しておくことが大切です。

ご参考: Webコラム「『IT導入補助金』で攻めのIT活用を始めよう
 私(知財経営研究社 代表)が、JCG会員として執筆したコラムです。


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小規模事業者持続化補助金と金融ベンチマーク

 小規模事業者持続化補助金の、平成28年度補正予算の追加公募が行われました(締切:5月31日)。

 この補助金は、小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援するものです。

 追加公募では、代表者が60歳以上の場合は「事業承継診断票」の提出が求められ、後継者候補が中心となって取り組む事業について重点的に支援するという規定が追加されました。
 つまり、小規模事業者の事業承継を後押しするものとなっています。

 小規模事業者持続化補助金は、金融仲介機能のベンチマークとしては次の指標と関連性が高いものです。

 選択18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)
 選択21 事業承継支援先数

 小規模事業者持続化補助金の関連予算が、平成29年度補正予算で計上されておりますので、この補助金は平成30年にも公募が行われる見通しです。

★金融機関の方へ
 この小規模事業者持続化補助金は、地域の商工会や商工会議所の支援のもとに経営計画を作成することが想定されているものです。
 従いまして、単にこの補助金の対象者であるからといって、補助金申請等の支援を行うというのは無理があるかも知れません。
 手間がかかり過ぎてしまう恐れがあります。
 支援対象とするお取引先事業者を事前に選定するなど、工夫が必要になると思います。

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オープン・イノベーション時代の到来

 金融仲介機能のベンチマークでは、「外部専門家の活用」が挙げられています。
 外部機関を使って、取引先の本業支援を行い、金融機関として自身の経営戦略やビジネスモデルの変革を図る。
 これもオープン・イノベーションの1つだと言えば、少々、大袈裟かも知れませんが。

 取引先にとりましては、金融機関が金融仲介機能の発揮を強化して、取引先に様々なビジネスパートナーをマッチングしてもらえるならば、取引先にとっては、オープン・イノベーションに取り組みやすくなるといえるでしょう。
 多くの地方銀行や信用金庫が産学連携支援を行っていることは、この一例といえるかも知れません。

 金融機関にも、技術革新の波が押し寄せています。
 ブロックチェーン、仮想通貨、クラウド会計、スマホ決済、人工知能(AI)を活用した金融商品の取引など、フィンテックと呼ばれる技術が、金融機関の経営に大きなインパクトを及ぼすことは間違いありません。

 金融機関も、様々な企業などと連携して、オープン・イノベーションに取り組む時代となりました。

ご参考「FinTechビジョン」(経産省)
 FinTech(フィンテック)が経済社会に与えるインパクトや課題、今後の政策の方向性等に関する報告や提言をまとめたものです。

「地銀フィンテック連合 ベンチャーと地方創生」(日経新聞 平成29年4月28日)
  千葉銀行、第四銀行などの取り組みです。

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オープン&クローズ戦略

 知財戦略の世界では、「オープン&クローズ戦略」が重要といわれています。

 何をオープンにし、何をクローズの状態にしておくことが自社の企業競争力を高め、ビジネスモデルを優れたものにするために好ましいかを考えます。

 会計の世界でも、企業会計原則に基づき公表すべき財務情報を管理する財務会計と、企業内部の戦略的な意思決定とそれに基づく行動の会計面での管理を行う管理会計に分かれています。

 各企業が、どのような管理会計を行っているのかについては、あまり公開されません。

 金融仲介機能のベンチマークの活用にあたっては、金融機関も「オープン&クローズ戦略」を意識する必要があるのではないかと思います。

 つまり、各ベンチマークについて、何を自行庫(銀行や信用金庫)の内部管理指標とし、何を対外的に公開することが望ましいのか、考える必要があります。

 各銀行によるベンチマークの公表状況を見てみますと、公表されている指標とそうではない指標が分かれています。

 単に、”公表したくないものは公表しない”という考えもあるでしょう。
 ベンチマークの制度は始まったばかりですので、これが今のところの実態かも知れません。

 しかしながら、これを機に経営戦略やビジネスモデルを見直すとともに、管理会計の考え方に当てはめ、自行庫内部の管理指標としてベンチマークを積極的に活用する、という考え方もあろうかと思います。

 経営戦略の管理指標として活用するならば、バランススコアカードの考え方を採り入れた、戦略マップというツールを用いると活用しやすくなると思います。
 これにつきましては、上記の「知的資産経営とローカルベンチマーク」のところでも簡単に触れましたのでご参考にしてください。


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金融仲介の改善に向けた検討会議/金融庁 新たなKPI

 金融庁は、「金融仲介の改善に向けた検討会議」を主催し、金融仲介機能のベンチマークを補完する新たなKPIを検討しているようです。
 報道によればこのKPI(成果の評価指標)については今春にも「金融仲介の改善に向けた検討会議」で原案を示し、金融検査マニュアルが廃止される2019年4月までの最終化を目指すということです。

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金融仲介機能のベンチマーク 参考文献

 地域金融の課題と競争のあり方(平成30年4月11日/金融仲介の改善に向けた検討会議)

 2つのベンチマーク(ローカルベンチマークと金融仲介機能のベンチマーク)

 金融システムレポート(日本銀行)

 「ベンチマーク」 の捉え方(信金中央金庫)

 信用金庫の営業店評価のあり方に関する一考察 (信金中央金庫)

 信用金庫における地域密着型金融の取組み事例集 (一般社団法人全国信用金庫協会)

 平成28年度事業報告 (一般社団法人関東信用金庫協会)

 行政事業レビュー(ベンチャー支援)資料(金融庁)
 地域金融機関による担保・保証に 依存しない融資による成長資金の供給(金融庁)
 地域金融機関に期待される役割(金融庁監督局)
 地域金融機関における金融仲介の質の向上(金融庁 総務企画局地域金融企画室長  日下 智晴 氏)

 地方創生に貢献できる地域金融機関 (神戸大学/家森信善教授)

 平成28事務年度 金融行政方針について (金融庁)

 マイナス金利がもたらす金融仲介モデルの変化 (みずほ総合研究所)

 銀行業務検定試験 新規種目『事業性評価3級』試験要項 (銀行業務検定協会)

 経営者保証に関するガイドライン(中小企業庁)

 事業承継ガイドライン(経済産業省)

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